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2019/11/13

重点枠SSHインドネシア受入プログラムレポート 10月15日〜10月22日

重点枠としては2校目となるインドネシアのBudi Mulia Dua International High School(BMD)との交流を行いました。インドネシアと日本は共に島国で、地震や津波、火山の噴火など、様々な災害を経験しています。日本人生徒とBMD生徒が混じりあった4つのグループで、災害や防災に焦点を当てたテーマについて研究を行いました。

昨年度2月に、本校生徒5名・札幌開成4名・札幌藻岩3名・ICU高校3名の生徒が参加するインドネシア訪問を行いました。

今回は、BMDの生徒が日本を訪問して国際共同課題研究を行い、より研究を深めようという取り組みです。 台風の影響もあり日程が変更になる中、10月15日(火)にBMD一行が新千歳空港に到着。その後、厚真町の森本様と北海道建築部笹崎様のご協力により、昨年度9月の北海道胆振東部地震で大きな影響があった厚真の地滑りと仮設住宅を見学することができました。

インドネシアに訪れた際にも火山の噴火により避難している方の仮設住宅を見学しましたが、それらはコンクリートのみで作られたドーム型の建築物でした。

一方で、厚真の仮設住宅では北海道の寒さにも耐えられる断熱材の配置や暖房設備があり、地域の違いや建築技術の違いを学ぶことができました。

また、17日(木)には、北海道大学の露崎史朗教授の講義により、火山の噴火と植物の遷移について学びました。

インドネシアでは環境を学べる学部がほとんどないそうで、日本の大学に進むことを本格的に考え始めたBMD生徒もいました。

日本人生徒にとっても、大学の研究により生物基礎の教科書の内容が変わるかもしれないという衝撃を目の当たりにしながら、21日(月)の洞爺湖研修に向けて観点を考えるきっかけを作ることができました。

今回は、ほとんどのグループが昨年度のテーマを深める形で研究を行いました。

グループA:The Power Of Soil In Water Holding(水を保持する土壌の力)

グループB:Eruption Model Of Mt. Usu and Mt. Merapi(有珠山とムラピ山の噴火モデル)

グループC:The Possibility of Landslides Occurrence in Various Locations Determined by the Different Type of Soils(異なるタイプの土壌によって決定されるさまざまな場所での地すべり発生の可能性)

グループD:Using Natural Sand to Make Mortar(天然砂を使用してモルタルを作る)

2月に一度インドネシア訪問を終了してから、SNSのラインを用いた話し合いが各グループにおいて進み、今回の北海道での研究活動に繋がりました。

既に仲良くなっているメンバーたちは、会った当日からさっそく試行錯誤しながら実験を行っていました。多くの実験の合間には両国の文化交流が行われ、日本の習字や折り紙の紹介、インドネシアのダンスの披露などで盛り上がりました。

20日(日)には各グループが成果発表を行いました。各発表に対して多くの質問が出され、活発な議論となりました。昨年度の2月の発表から比べて、研究内容の向上のみならず、各自が知っている単語を組み合わせながら科学的な内容を英語で意見を伝える能力が上がっていることを実感しました。

20日(日)午後から21日(月)にかけて、有珠山や昭和新山を巡る洞爺湖研修を行いました。BMDの近くにあるムラピ山はほぼ一年中噴煙を上げる火山で、その被害もとても大きなものです。

それに比較して、有珠山は2000年の噴火の際に火山性の地震の感知をもとに全員避難に成功した経験を持ち、噴火予測をしやすいと言われる理由やその方法等についてフィールドワークをしながら学びました。

文化も言語も違う他国の生徒とともに、多様な考え方をぶつけ合いながら実験し、発表するという濃密な1週間でした。

このプログラムによって自分の進路の考え方が大きく変わったという生徒もいました。互いの国の生徒が互いの国に留学生として海を渡り、世界で活躍することを見られる日も遠い未来ではないかもしれません。

今回のプログラムで身に着けた、共通性と相違性を認識しながらともに未来を歩む力を今後に生かしていってくれることと期待しています。

なお、このプログラムは、独立行政法人科学技術振興機構JST主催の「さくらサイエンスプラン」に採択され、実施したものです。 この場をお借りして、JSTによる多大なご支援に感謝申し上げます。