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お知らせ

2020/01/29

重点枠SSH中国受入プログラムを実施しました 1月16日~1月22日

 慶祥・重点枠SSHの中核である「国際共同課題研究プログラム」の一環として、中国の北京航空航天大学実験学校の生徒を日本に招へいし、慶祥高校を中心に札幌で一週間の交流や共同研究活動を行いました。
今年度のプログラムには慶祥の他に、札幌開成・札幌南高校からの参加があり、生徒達は昨年9月に、北京を訪れ現地で共同研究の計画をスタートさせていました。以降、生徒達はメールやWeChat(中国発祥のSNS)で連絡を取り合い、日中双方から提案された、それぞれが興味を持つ研究テーマについて、中身のディスカッションを進めてきました。

    

 札幌での一週間、グループ毎の共同研究活動に加え、千歳科学技術大学研修、北海道大学低温科学研究所研修、慶祥教員による特別授業など、盛沢山なプログラムで一行を迎えました。

 千歳科学技術大学では、高分子材料、電子光工学、バイオ工学の3つの分野の研究室を見学し、専門の先生方から貴重なレクチャーをいただきました。身近な素材、身の回りの現象を扱いながら深い研究、そして世の中の役に立つモノを開発する取り組みを目の当たりにし、日本生徒も含めて、課題研究のテーマ検討への刺激になったことと思います。

 北海道大学では、凛と冷える空気の中、広大なキャンパスを散策し、総合博物館で貴重な資料や最先端の研究展示に目を輝かせました。そして、充実の体制で迎えてくださった低温科学研究所では、氷河と海氷についての講義と、低温科学の意義について説明を聞き、この研究がいかにダイナミックで地球規模の学問であるかを知りました。さすが理数の基礎がしっかりしている生徒たちだけあって、講師の先生も感心する質問を数多く投げかけていました。南極での氷河観測の装備の紹介、-50度の冷凍室で保存されている南極の氷を目の前で見るなど、初めてだらけの体験だったことでしょう。地球上の真水の分布や球温暖化の問題などに直結する本研究所の取り組みは興味深く新鮮に映ったに違いありません。

 

 

 Matthew先生は慶祥の英語の先生ですが、実はカナダで橋やダムの設計をしていたという筋金入りのエンジニア! 地震の被害を抑えるためのビルの設計などについて、パスタとマシュマロのモデルを使いながら学びました。

 

 

 本プログラムのメインである共同課題研究活動では、各グループとも成果発表を目指して最終のデータ収集や、今後の展望のディスカッションに没頭しました。

今回揃った研究テーマは、
・Effect of Alkaline Substances on Fermentation~アルカリ化合物の発酵への影響~
・Study on the Inhibitory Effect of Ginger Extrats on Staphylococcus Aureus~異なった方法のショウガ抽出液による黄色ブドウ球菌の抑制効果の研究~
・Application of the Water Which Can Be Held~持てる水の利用~
・Dessert Culture Differences Between China and Japan~中国と日本の甘味文化の違い~
の4つです。

 

 このような色々な研修で、中国の生徒たちのお世話には、9月に中国を訪問したメンバーが中心となって当たっています。ここでも、慶祥・開成・札幌南高校と、学校の垣根を越えて連携して交流プログラムを支えてくれています。頼もしい限りです。日本文化体験・交流プログラムでも、日本の縁日の出し物を再現したりと、創意工夫が散りばめられていました。伝統衣装をまとった中国の生徒による舞踊や、漢詩がもとになっている伝統歌の合唱も大変素敵でした。

 

 最終日も、息つく間もなく各研究グループの発表に向けて、プレゼンテーション作成と発表練習です。中国と日本のどちらのメンバーにとっても、共同で一つのプレゼンを作るには、英語でのコミュニケーションや英語での科学的な説明が必須な訳ですが、このプログラムを通して少しずつそれが自然になってきたのではないでしょうか。
世界中のどこでも、こうやって国や文化の垣根を越えて同じ目的に向かって進むことができたらと夢想してしまう瞬間です。ぜひこのプログラムの経験者の皆さんにはその担い手になってほしいと願います。

 各グループの発表後には先生方からの掘り下げた質問が飛び交い、生徒からの疑問提起やディスカッションも続きました。このプログラムで身につけたいスキルの第一はここです。「英語で、サイエンスについて、研究についてディスカッションする」力を磨くことで、皆さんの活躍の舞台はグローバルなものとなります。

 発表会に続き終了式が執り行われ、慶祥の江川副校長より一人ひとりに証書が贈られました。今回の出会いによって、慶祥のサイエンス教育はさらに大きな可能性を広げ、また生徒たちの豊かな人生へと大きく寄与することができます。これからもこの関係を大切にしていきたいと思います。