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お知らせ

2020/02/03

中2コミュニケーション授業実施!!

 本校では、文化庁の「文化芸術による子供育成総合事業―コミュニケーション能力向上事業―」の認定校として、中学校に芸術家を招き,その表現手法を用いた計画的・継続的なワークショップを実施しています。今年度も、中学3学年がそれぞれの到達目標を設定したコミュニケーション授業に取り組み、先週すべてのプログラムが終了しました。

 本校に講師に来てくださっているのは、札幌を拠点に全国・海外でも演劇活動を行っている「札幌座」の皆さん。生徒たちにとっては、プロの演出家や俳優陣と触れ合える絶好の機会です。

 

 

 今回は中学2年生のコミュニケーション授業の様子を取り上げますが、3年間の流れも簡単にお伝えします。
 中学3年生は毎年、「立命祭」で全クラスがオリジナル劇を創作し、3年間の集大成として発表します。中学1・2年生は、その到達点を目指し、段階的に演劇に触れていきます。
 中学1年生は、グルーピングを頻繁に行い、相手を変えることで生まれる日常よりも開かれた雰囲気の中、シアターゲームやジェスチャー等の「非言語コミュニケーション」を通して、協働することを体験します。慣れるに従って演劇的な要素を加え、正解のない簡単な表現に挑戦します。

 さて、中学2年です。
 全4回の授業のうち第1回目は、1年次にやった「非言語コミュニケーション」で体慣らしをした後、8人程度のグループで1枚の写真を再現する、というワークに取り組みました。自分の意図通り伝わったり伝わらなかったりする状態を経験し、どうやったら伝わるのかを考える中で、自己と異なる「他者」を発見し、他者に照らした「自己」を認識します。実際にやってみた生徒たちは、自分のイメージ通りに伝えることの難しさに頭を悩ませながらも、様々に工夫して表現していました。
 第2~4回目は、5分以内の短編演劇の創作に取り組みました。分解された物語をグループ内で担当者を決めて別々に聞き、つなぎ合わせて再構築する、という課題です。作品はグリム童話の『金の毛が3本生えた鬼』でした。「札幌座」の俳優陣の臨場感ある朗読に聞きほれるだけでは、グループに戻った時に報告ができません。担当制にすることで、個人個人が主体的に課題に取り組む必要が生まれます。集めてきた物語を共有し、すり合わせ、お互いに歩み寄るために交渉して、「対話」の中から最適なものを見つけ創作してゆくのが、このワークの醍醐味です。 
  創作過程で、中間発表を2回行い、意見交換をしました。他グループに、客観的に作品がどのように見えて、どのように伝わったか、どうしたらもっと良くなるか、意見をもらいます。講師の方々からは、台詞やナレーションの言葉だけに頼らず、身体表現や状況設定などを深めていくよう課題が与えられました。それらの意見をグループ内で再考し、一人ひとりの気づきを明らかにしながら最終的に作品を完成させることで、共通の目標に向かったグループ作業の達成感も得ることができたと思います。発表を見ると、同じ題材にも関わらず、グループごとに切り取って強調する場面が異なり、それぞれの個性が表れてとてもおもしろいものでした。予想外のアイディアに笑いが起こる場面もたくさんありました。
 
 今後ますますグローバルでボーダレスなコミュニケーション力が必要になる時代。こうしたプログラムを楽しみながら、適切な方法で他者と関わってゆける素地を育んでいきたいと思います。