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2020/09/23

高1小山杏樹さん、高校生直木賞全国大会出場!「読書に燃えた夏を、忘れない。」

 8月23日、全国36校の高校生が参加する高校生直木賞全国大会が開催され、北海道からは立命館慶祥高校の小山杏樹さん(1年)が代表生徒として出場しました。文藝春秋社が主催する「高校生直木賞」とは、全国の高校生たちが集まって議論を戦わせ、直近一年間の直木賞の候補作から「今年の1作」を選ぶ試みです。昨年は第6回受賞作として『熱帯』(森見登美彦 著)が選ばれました。第7回となる今年の候補作は以下の5作品です。

 朝倉かすみ 『平場の月』
 小川哲 『嘘と正典』
 大島真寿美 『渦』 ※第161回直木賞受賞作川
 越宗一 『熱源』 ※第162回直木賞受賞作
 窪美澄 『トリニティ』

 当初の予定では4月29日に文藝春秋本社(東京都)で開催される全国大会に小山さんが出場するはずだったのですが、新型コロナ感染拡大により延期、そして東京開催を断念。全国の高校生をZOOMでつなぐ形で、8月23日の全国大会はオンラインにて開催されました。その前日には「候補5作品すべて読了」という条件を満たした本校生徒によって校内選考会を開催、3時間にわたる議論の末、「北海道代表の私たちが『熱源』を選ばなくていいのか、私たちだからこそ語れる『熱源』の良さがあるのではないか」という意見もあるなか、「解釈の多様性」「読む前と後での自己の価値観の変容」「読み直すことでの新発見」などの観点で、最後は全員一致で『トリニティ』を本校第1位作品に決定、翌日の全国大会に臨みました。
 23日の全国大会は、昨年の高校生直木賞を受賞した森見登美彦さんの講演会でスタート。本校生徒の質問にも答えてくださるなど、貴重な機会となりました。その後に始まった選考会では『渦』『熱源』『トリニティ』を推す高校生によって白熱した議論が展開され、特に『熱源』と『トリニティ』については小山さんもたびたび発言するなど、規定時間をオーバーするほどの話し合いの末、最後には『渦』が第7回高校生直木賞に決定しました。「好きなことを全力でできているのか! と問いかけられる小説」という高校生の『渦』評が印象的です。全国大会を終えた小山さんは、「今回の議論をしているうちに、『熱源』も『渦』ももう一度最初から読み返してみたくなった。候補作5冊に付箋をびっしり貼りながら読み進める読書は初めてで、とても時間がかかったけれど、良い経験になった。今後の文芸誌製作にも今回の経験をいかしたい」と語りました。

★高校生直木賞に参加した本校生徒の感想★

宮田開叶くん(高校1年)
 「まず、森見登美彦先生が自分の質問に答えてくださったことにとても感謝しています。本当にありがとうございました。小説家という職業に就いている森見先生が、どのような過程で小説を書いているのか、前々から気になっていました。当然、自分がどれだけ努力をしても森見先生には到底敵いません。どうやったら思いつくのだろう? というような物語を見ると、自分の書いてきたものがものすごくちっぽけに思えてきます。ならせめて少しでも物語に関する技術を盗みたいと思っていた矢先、この講演会の情報が飛び込んできました。教えてくださった里見先生にも本当に感謝しています。講演会を聞いてまず一つ分かったことは、自分が努力不足だということです。森見先生の自宅の棚にずらっと並んだ小説の数々、森見先生の高校時代の話などを聞いていると、やはり自分は物事を知らなすぎるのだと実感しました。それと同時に、少し自信がつきました。というのも努力不足ということは、努力すればまだチャンスはあるということかもしれないと思えたからです。単純なことですが、自分にとっては人生の転機といっても過言ではないぐらいの大発見でした。今まで言われるだけで実感が湧かなかった努力という言葉ですが、実際に成功している森見先生のような人の努力には今までの何倍も説得力があるように思えました。また、小説を書く時のプロセスまで話してくれたのは本当に嬉しかったですし、ためになりました。普段あまり知ることのできない小説家の裏側の話を聞けて光栄です。改めてお礼申し上げます。そして、森見先生の小説を読んでいない方は是非とも読んでいただきたい・・・! 個人的にはペンギン・ハイウェイがおすすめです。」

鈴木雛乃さん(中学1年)
 「私の周りに語れるほど本好きな人はあまりいませんでしたが、今回は、語りたいことを全部語ることができ、とても楽しかったです。私は、今まで読んで楽しかったかどうか、という視点で本を読んでいましたが、今回は、他人がどう思うか、印象に残ったかどうかという視点で議論できました。本に関する、それぞれの価値観を共有することもでき、あっという間に3時間が過ぎました。チャンスがあれば、また来年も参加したいです。」

梶浦拓音くん(高校1年)
 「5冊全て読んでから、全員でもう一度意見を共有することで、新しい見方を見つけることができました。改めて今回の選考会はとても良い経験になりました。一度つけた評価だけで考えるのではなく、その本一つ一つをまた見直すことで、最初は低かった評価がひっくり返ることがあったりと、高校生直木賞選考会自体がまるでひとつの物語のようでした。」

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「高校生直木賞」公式ウェブサイト
http://koukouseinaoki.com/