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2022/06/15

第9回高校生直木賞全国大会出場、『同志少女よ、敵を撃て』 を選出!

 5月22日、全国38校の高校生が参加する高校生直木賞全国大会が開催され、本校の梶浦拓音さんが代表生徒として出場しました。文藝春秋社が主催する高校生直木賞とは、全国の高校生たちが集まって議論を戦わせ、直近一年間の直木賞の候補作から「今年の1作」を選ぶ試みです。昨年は第8回受賞作として『雲を紡ぐ』と『オルタネート』が選ばれました。第9回となる今年の候補作は以下の6作品です。

 逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』 
 一穂ミチ『スモールワールズ』 
 今村翔吾 『塞王の楯』 
 佐藤究『テスカトリポカ』 
 澤田瞳子『星落ちて、なお』
 米澤穂信『黒牢城』 

 5月14日には「候補6作品すべて読了」という条件を満たした本校生徒5名によって校内選考会が開催され、2時間にわたる議論の末に『同志少女よ、敵を撃て』を選出し、全国大会に臨みました。22日の全国大会では『同志少女よ、敵を撃て』『スモールワールズ』『テスカトリポカ』を推す高校生によって白熱した議論が展開されました。本校の梶浦さんもたびたび発言するなど、4時間をオーバーする話し合いの末、『同志少女よ、敵を撃て』が第9回高校生直木賞を受賞することに決定しました。文藝春秋社発行の「オール讀物」7月号(6月22日発売)に、全国大会の詳細レポートが掲載されます。
 『同志少女よ、敵を撃て』の高校生直木賞受賞を受けて、本校で7月16日に読書会が開催されます。課題図書は『戦争は女の顔をしていない』(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ著)です。第二次世界大戦に従軍した500人以上のソ連の女性たちから聞き取りを行ったノーベル文学賞作家の主著について、本校の有志生徒がじっくりと語り合います。詳細については本校国語科教諭・里見へお気軽にお問い合わせください。


★高校生直木賞全国大会に参加した本校生徒の感想★
梶浦拓音(高校3年生)
 「コロナ禍という状況の中開催された今回の高校生直木賞では、本校が一押しにしていた『同志少女よ、敵を撃て』が選ばれました。今回の選考会を通して私は、ほかの学校の皆さんから様々な観点、価値観があることを改めて思い知らされました。当初はあまり候補に考えていなかった『テスカトリポカ』も改めて見てみるとその作品の本性が見えてくるというか、その姿を改めて認識する機会となりました。終わった後に、またすべて読み返したくなる興味深い討論でした。自分が『同志少女よ、敵を撃て』を一押ししていたのには現在の社会情勢もあったかもしれませんが、まず根底にその作品が面白いと思ったからだと思います。何度か指摘があった、高校生なのだから読む作品には見境を付ける必要などなく、社会情勢にとらわれすぎなのではないかという意見、自分のことを言われているような気がして、ビリっとくるものがありました。最後に、今回の討論を通して、さらに多くの観点、価値観を知ることができました。これを社会に出たときに活かすことができるよう、努力していきたいと思います。非常に白熱した討論に参加させていただきありがとうございました。」

梅本羽衣(中学1年生)
 「全国大会はとてもレベルが高く、文章のみならず作品の背景や本のカバーについて語られていました。参加されている方々がとても本が好きで、様々なことを考えて読書しているということが伝わり、私と同じ本好きがたくさんいると嬉しくなりました。これからも読書の幅を広く持って読書をし続けたいです。」


★高校生直木賞校内選考会に参加した本校生徒の感想★
梅本羽衣(中学1年生)
 「校内選考会を通して、自分が読んだだけでは思いつかなかった意見や考えを聞き、さらに自分の考えが深まりました。そして、これから読書の幅が広がると感じました。立命館慶祥での推し本は『同志少女よ、敵を撃て』と決まりました。私は初めからこの作品を推していましたが、新たな発見をたくさんできました。今のウクライナ情勢と重ね合わせて考えると、日常から急に戦争が始まってしまい、戦争が新たな日常となってしまう衝撃や重みを感じました。80年ほど前の独ソ戦が舞台ですが、今も問題として続いている性暴力について女性狙撃小隊を描くことで『性暴力をなくすべきだ』という筆者の強い思いを感じました。6冊のなかで主人公の思いに引き込まれたのは『同志少女よ、敵を撃て』でした。本を選ぶ基準も私は『主人公の思いに引き込まれたか』としましたが、『友人に紹介するか』『小説でしか表せない内容か』などの様々な基準があらわれて面白かったです。6冊のうちどの本も筆者の思いが本の主題に強く込められていて、読んでいて新たな学びを得られました。戦争や麻薬や虐待をなくし、LGBTQや女性の権利を認めるかなど、現代社会にあった問題提起を受けて、小説というより論説文のような感じがしました。でも、小説という形にすることでさらに読者に身近に感じさせる効果もあると思いました。これからもう一度6冊を読み、新たな本の魅力に気づきたいと思います。普段読む本も、今まであまり読んでこなかった分野に手をつけたいです。来年も高校生直木賞に参加します!」


西岡咲乃(中学1年生)
 「今日はじめて高校生直木賞の選考会に参加して、同じ本を読んだ先輩方と交流をして、本の内容に対する視点が広がったと感じました。はじめは、『同志少女よ、敵を撃て』が一番だと考えていたのですが、『塞王の盾』について勝ちと負けが決まらない結末と、盾と矛がどちらも必要だという結論は小説でしか出来ないことであるという考えを聞いて、もう一度読み直してみたいと思いました。また、最終的には『同志少女よ、敵を撃て』を選んだのですが、6冊全ての良さを話し合ったことで他の5冊の本についても面白さを感じることが出来ました。今回の高校生直木賞で得た視点を活かし、今後も本を読んでそれぞれの良さや、学べることをどんどん吸収していきたいと思いました。」


田代優月(中学3年生)
 「今回の議論によって、本に対する新しい観点を見つけることができました。今まであまり考えたことのない『作者の伝えたいこと』にしっかりと向き合えました。向き合うことで、候補作品の新しい魅力に気づけました。また、皆さんの意見がとても鋭く、私は議論中驚かされることが多々ありました。様々な人と本について語り合うことはとても楽しいと、気付けた時間になりました。」


鈴木雛乃(中学3年生)
 「今回の校内選考会では、自分が読んでどう感じたか、他人に勧めるかどうか、を主な視点として話し合いました。描写の1つ1つや、登場人物、話の構成についても語り合うことができ、とても楽しかったです。コロナや戦争、SNSなど現代社会は大きな転換期を迎えようとしています。そんな中、昔の戦いに思いを馳せ、家族や小さな世界について考え、今後体験できないような世界を小説の中で体験することができます。それを皆で共有することができたのは本当に貴重な体験でした。ありがとうございました。」


★高校生直木賞公式ウェブサイト★
http://koukouseinaoki.com/

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