NEWS

お知らせ

2024/01/09

National Junior College(シンガポール)が慶祥を訪れ共同研究を行いました。

 NJCからの訪問があり、共同研究を通した国際交流を行いました。

 2023年11月28日~12月2日の日程で、シンガポールのNational Junior College(以下、NJC)一行が慶祥を訪れ、高校3年生の荻野 優花さん、高校2年生の浅野 七海さん、大平 あいさん、山道 美優さん、高校1年生の七尾 和花さん、林 隼誠君の6名と、8月に本格的にスタートして日本とシンガポールでそれぞれ続けてきた共同研究を対面で行いました。

 11/28(火)9時に新千歳空港に到着したNJCの14名(生徒12名、引率教員2名)一行はウトナイ湖サンクチュアリで知られるラムサール条約で保護されてきたウトナイ湖と野鳥を視察しました。その後、昼食をとったのちに新札幌の宿泊ホテルにて深夜便の羽田経由で来日した疲れを取り、夕方に授業を終えた慶祥の研究チーム6名とwelcome ceremonyで8月以来、久しぶりの再会で旧交を温めました。

 12/2(土)早朝に新札幌のホテルを出発し、9時発の大阪行き航空便にて関西へ向かいました。NJCはこのあと京都の立命館高校にて共同研究を行い、12/6(水)に羽田空港からシンガポールに帰国しました。

 

1.共同研究

 11/29午前と30午前・午後、各々約3時間、慶祥高校の生物実験室でNJCとの共同研究を進めました。6月にZoomで慶祥とNJCの参加生徒が初顔合わせをして以来8月に慶祥の生徒がシンガポールを訪問して対面による話し合いで研究テーマとその研究方法を打ち合わせたり、LINEなどのSNSを使って情報と意見の交換をしたりしながら、慶祥とNJC双方で実験を行ってきました。

 荻野さん、山道さん、林君とNJC3名による6名のチームは、プラスチックのキノコによる分解がテーマです。プラスチックの分解が報告されているキノコのヒラタケについて、その分解促進にかかわる研究をしています。これまでプラスチック細片を培地に混ぜ込みヒラタケの菌糸を培養してきました。今回の対面の共同研究では試料の一部を取り出してプラスチックがキノコにより分解されている状況を確認し、残りの試料の解析方法について検討し、最後に慶祥NJC合同チームである下の2チームが研究中間報告を行いました。

 浅野さん、大平さん、七尾さんとNJC3名による6名のチームは、廃棄食材を活用したバイオプラスチックの合成にかかわる研究をしています。プラスチックの廃棄問題を大きなテーマに据えて8月以降も具体的な研究対象について練り直しをし、バイオプラスチックの合成の試行錯誤を繰り返してきました。NJCのチームメイトとこれまでの成果を検討し、バイオプラスチックの合成における廃棄野菜の食物繊維の効果的な活用に的を絞り研究を詰めていきます。

2.研究室訪問

 11/29(水)の午後は、北海道大学低温科学研究所で南極学に関する研究室訪問を行いました。杉山慎教授の南極雪氷と青木茂准教授の南極海に関する講義では、地球温暖化の影響が敏感に現れる南極大陸とその周辺海域の自然環境についての動向とその研究の重要性をお話しいただきました。その後、両研究の実地調査や分析機器などの実物を提示していただきながら大学院生5人の支援を受けながら見学しました。南極氷床の氷をコップの水に浮かべ静かに耳を澄ませると、長い年月をかけて雪が氷に変わる中で閉じ込められた太古の空気が気泡となって出てくるときの微かな音が印象的でした。

 12/1の午後は、ホクレン総合農業研究所本館の研究所訪問を行いました。ホクレン(北海道農業協同組合連合会)の総合研究所では、北海道の農業関係の多様な調査研究行っています。農産物の国内外への販売促進に必要な品種改良や商品価値を高める技術の開発、これからの人手不足に対応するAI活用の農業機器の自動化、食の安全に欠かせない農作物に関係した化学分析の評価法など、具体的な説明をいただきました。今秋収穫された新鮮なジャガイモと適切に保管された昨秋のジャガイモの食べ比べをさせていただき、1年前のジャガイモの方が甘くおいしいことに驚きました。

3.校外ツアー

 11/28(火)午前に新千歳空港に到着したNJC一行は、ウトナイ湖野生鳥獣保護センターを訪問し、渡り鳥の中継地としてラムサール条約に登録湿地されたウトナイ湖を視察しました。例年はこの時期に白鳥が多く立ち寄るのですが今年は白鳥の飛来時期が早かったとのことで、その姿が見えず近年の気候傾向の影響を感じられました。

 12/1(金)の午前は、札幌オリンピックミュージアムの施設見学です。オリンピックやパラリンピックの歴史と感動を体感し、ウィンタースポーツの普及と発展を目指して開設された施設に、赤道直下の国シンガポールで生活するNJCの皆さんは興味津々です。1972年の札幌冬季オリンピックを始め毎年国内外のスキージャンパーで競われる大倉山シャンツェのスタート地点のすぐ後ろにある展望室まで選手たちが利用するリフトで上がり、そこから見下ろすジャンプ台のスケールの大きさを体感しました。

4.慶祥生徒交流

 11/29の朝、NJCの皆さんが慶祥に登校後、研究に先立ち校舎の案内を慶祥の生徒6人が行いました。慶祥は中学校の教室区域と高校の教室区域が、スタッフルームや理科実験室などの管理棟で結ばれている構造をしています。それに附属する形でアリーナや多目的講堂Co-Tanがあります。冬季の寒気降雪対応の校舎は建物全体が一つの室内と言ってもよく、熱帯の開放的な校舎との違いをNJCの皆さんは興味深く見ていました。

 11/30の3時間目に、共同研究の合間を縫って1年I組の歴史総合(西島先生)と2年B組の数学Ⅱ(藤田先生)の授業を見学しました。赤道に近いシンガポールでは明るい日差しのもとで窓が開放された教室ですが、北海道の教室は断熱が配慮された構造で、雰囲気が異なります。そのような中で行われる日本の授業について、1Iの歴史総合ではシンガポールの写真を交えたり歴史の裏話を紹介したりした西島先生のユニークな語り口と1I生徒の授業への好奇心とで進められる日本近代史を、2Bの数学Ⅱでも藤田先生のNJC生徒へのフレンドリーな問いかけや2B生徒との軽快なやり取りで行われる解析学を、和やかな雰囲気の中で見学していました。

 放課後は、日本文化として特徴的な部活動の茶道部と競技かるた部を見学しました。茶道部では、NJCの皆さんはお茶を点て茶菓子とともにいただく体験をしてもらいました。茶道部の部長を務め今回の共同研究に参加している浅野さんを先頭に慶祥の部員がお茶や菓子を運び、茶道講師の先生からの説明を受けて、畳敷きの和風の茶の間で日本文化としてよく知られている茶の世界を堪能していました。

 競技かるた部では、日本の「かるた」を体験してもらいました。NJCの皆さんには「かるた」というカードゲームは珍しいようで、引率の先生からも質問をいただくくらい興味を持っていただきました。百人一首競技のデモンストレーションを見学したあと、かるた部員がこの日のために作ったABC…の頭文字カードで、かるたの体験をして楽しい時間を過ごしてもらいました。

5.北海道文化体験

 この期間の夕方は夕食などをともに過ごし、時間の許す中で北海道の冬と街並みを体験し交流を深めました。

 11/28夕方はwelcome ceremonyで、授業を終えた慶祥の生徒と、宿泊ホテルに荷物を置いたNJCの生徒が新札幌駅の近くの飲食店で夕食を共にしながら3か月振りの再会に話が弾みました。

 11/29夕方は夕食をはさみながら、研究室訪問で訪れていた北大低温研究所から札幌駅を経由して大通まで雪道や地下歩行空間を歩き、大通ではウインターイルミネーションとクリスマス市を見物し、NJCの皆さんに冬季の北国の雰囲気を味わってもらいました。

 11/30夕方は慶祥に最も近い新札幌駅界隈で、慶祥を始め近隣の高校生などや家族連れに気軽に利用される日本のフードコートで、慶祥の生徒の案内でそれぞれ食べてみたいメニューの夕食を摂りました。

 12/1夕方はさっぽろビール園にてジンギスカンに舌鼓を打ちながらFarewell ceremonyを行いました。シンガポールでは多様な宗教があり、食について制約が多いのですがハラル対応のラム肉なので安心して北海道の郷土料理であるジンギスカンを堪能してもらえました。また、今回の慶祥訪問と共同研究についての思いを慶祥とNJCの参加者一人ひとりから話してもらいました。

 この訪問交流は、「国際共同研究プログラム(シンガポールNJC)」の一部で、今後、2月をめどに日本とシンガポールでそれぞれ研究成果をまとめ、慶祥では3月に発表する予定です。