中学受験で読書が有利な理由とは?おすすめの本29選
2022.01.26
「国語の成績が悪いから読書をさせた方がいいのか」「どんな本を子どもに読ませるべきか」とお悩みの保護者の方もいるのではないのでしょうか。確かに読書は中学受験の勉強に役立ちます。
しかし本の選び方や読み方を意識しないと、読書が勉強に直結しない恐れもあるのです。そこで中学受験前の子どもにおすすめの本をテーマ別にピックアップ。また読書後にすべきことや、作文などで見られるポイントなども解説します。
読書の習慣は身につけることができます。本が好きになる工夫についても紹介していますので是非参考にしてみてください。
中学受験で有利?読書の習慣と勉強の関係
読書の習慣があると、下記のメリットがあるため中学受験で有利となります。
- 集中力が上がる
- 読む速度が速くなる
- スムーズに問題に入れる
読書をすると国語の長文読解に役立つことが多いです。とくに中学受験の国語では、長文の文字数が多く集中力と速読力が必要になります。
中学受験の国語の入試問題では、大問一つあたり約3,900字あります。2問構成としている中学校がほとんどのため、大問1と2を合わせると8,000字近い文字を読むことになるのです。
ちなみに8,000字というのは、パソコンの文書作成ソフトのデフォルト設定で、A4用紙5.5ページ強に相当します。※1ページ当たり1,440字で計算
1問構成のみの場合だと、5,000字、10,000字を超える問題を出題する学校もあり、読書で集中力と速読力を高めている子どもは国語の入試で有利といえるのです。
また読書の習慣がある子どもは、長文を読むことにも抵抗を感じなくなるため、スムーズに問題に入れるというメリットもあります。
読んだことのある作品からの出題はメリットにもデメリットにもなりうる
読んだことのある作品が出題されれば、問題を読む時間も短くなります。また読んだことのある作者の作品が出れば、その作者特有の文の書き方に慣れているため、読むスピードが早くなるでしょう。
しかし読んだことのある作品が問題で出た場合は注意点があります。それは作品の内容を知っているため、問題文をきちんと読まずに解いてしまうことです。結末を知っているがゆえ、登場人物の心情を先読みして解答し、不正解となるケースもあるのです。
読んだことのある作品が出ても問題文はきちんと読むようにしましょう。
中学受験の問題として出題される本の傾向
試験問題で選ばれる本には傾向があります。
ほとんどの中学校が、国語の入試問題に小説を出題しています。7~8割が、少年少女の主人公が新たな発見をしたり価値観を得たりする「成長物語」です。
他にも学校生活や部活動をテーマとする青春物語や、家族のヒューマンドラマなどの作品が選ばれています。多くの中学校がアドミッションポリシーをこめて作品を選ぶ傾向があり、一方でミステリーやサスペンスからの出題はほとんどありません。
以前は重松清の作品がよく出題されていましたが、近ごろは出題される作家に変化が見られます。とくに直木賞を受賞した作家の作品は出題率が高くなります。
ちなみにほとんどの中学校が夏前に入試問題を作成するため、秋ごろに話題になった作品が出題されるケースはまれです。よく出る作品や傾向を掴むためにも、過去問や塾のテキスト、参考書などを見るとよいでしょう。
読んでおきたい!中学受験の前の読書におすすめの本
中学受験の国語でよく出るテーマ別におすすめの本をピックアップし紹介します。
成長・青春・家族14選
- 『家族シアター』辻村 深月
- 『水を縫う』寺地 はるな
- 『朔と新』いとう みく
- 『保健室経由、かねやま本館。』松素めぐり
- 『クラスメイツ』森絵都
- 『小学五年生』重松清
- 『あと少し、もう少し』瀬尾まいこ
- 『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』こまつあやこ
- 『線は、僕を描く』砥上裕將
- 『かがみの孤独』辻村深月
- 『しずかな日々』椰月美智子
- 『君たちは今が世界』朝比奈あすか
- 『さざなみのよる』木皿泉
- 『サラバ!』西 加奈子
成長・青春・家族をテーマにした作品は出題率が高いです。主人公が問題を乗り越え成長する作品は多く出されます。
作品の中には、子ども自身に経験のないような壮絶な人生を歩む主人公もおり、共感して読めないかもしれません。しかし人が困難に直面した時の気持ちを知ろうとすることで、読解力を見につくため、内容を問わず読むことが大切です。
社会問題・情報化社会・科学技術5選
- 『科学の考え方・学び方』池内了
- 『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン
- 『10代からの情報キャッチボール入門 使えるメディア・リテラシー』下村 健一
- 『ゴリラからの警告「人間社会、ここがおかしい」』山極寿一
- 『うしろめたさの人類学』松村圭一郎
社会問題などを中心に、著者独自の批判的な意見が述べられた本が多くあります。なかには小学生が読了するのが困難な本もあるため、難しい場合は部分読みをするとよいです。
前書きや後書きを読ませて著者の考えを掴む、過去問や塾のテキストで抜粋されている箇所周辺を読むなどでも充分です。
環境・自然5選
- 『面白くて眠れなくなる植物学』稲垣 栄洋
- 『スイカのタネはなぜ散らばっているのか』稲垣 栄洋
- 『植物のひみつ』田中修
- 『農は過去と未来をつなぐ』宇根豊
- 『春の数えかた』日高敏隆
中学受験では、植物や生物の知られざる特徴を噛み砕いて説明した本が出題される傾向にあります。専門用語が出てきますが、好奇心を刺激される本も多いため、理科が苦手な子どもでも楽しんで読むことができます。
学び・考える・生きる5選
- 『ミライの授業』瀧本 哲史 『物語ること、生きること』上橋菜穂子、瀧晴巳『学びとは何か <探究人>になるために』今井むつみ『「自分」の壁』養老孟司『孤独の価値』森博嗣
上記の本の中には、過去に中学受験で出題されたものもあります。学びの本質を追求する本や、自信の身につけ方を学べる本など、人生を豊かにしてくれるものが多くあります。
なかには難易度が高く簡単に読めない本もあります。しかし近年入試の難易度を上げている学校では、難しいテーマも取り上げられているのが実情です。
中学受験対策として読書をする際のポイント
中学受験対策としての読み方や読んだ後にすべきことを紹介します。
読書を得点につなげるには、理解しながら読むことが大切です。そのためにも読書後は下記内容について、ノートに書いたり、親子で話し合ったりするとよいでしょう。
- 登場人物(名前、性格、境遇、目的)
- 内容(起こった変化、結末)
- 感想(読んで何を感じたか)
- 主題
- 好きな場面
簡単な言葉でもいいため、自分の考えている内容を言葉にすることが大切です。
中学受験では、作品のテーマや作者の意図について問われることもあります。そのため主題が何かを考えながら読むことは重要です。自分の好きな場面と主題を明確にさせられるようにしましょう。
読書が苦手な子どもの場合は、保護者の方が本を読み、本の内容を質問してみてください。分からなかった言葉は噛み砕いて説明するとよいです。
中学受験前の子どもに読書の習慣を身につけさせるには?
子どもに読書の習慣を身につけさせるには、下記3つの方法があります。
- 好きな本から読ませる
- リビングの本棚に様々な本を置く
- 映画を観た後に原作本を読ませる
読書が苦手な子どもに、無理やり本を読ませようとしても効果はありません。ただ文字を追うだけで終わり、内容を理解していないケースが多いためです。
ただ本には様々なジャンルがあり、子どもが好きな本が見つかるケースもあります。
そのためにもリビングに大きな本棚を設置し、様々なジャンルの本を並べておくことをおすすめします。子どもがいつでも本を手に取りやすい環境を作るのです。
またアニメやドラマ、映画などを観た後に、原作を読ませるのもよいでしょう。知っている話であれば、取っつきやすくスラスラと読める可能性があります。
中学受験に読書は効果的!読ませ方に気をつけましょう
読書の習慣が身につくと、集中力や速読力が高まり、長文問題をスムーズに読むことができます。中学受験で出題されやすい本の傾向を掴み、子どもに読書をさせるとよいでしょう。
ただし読書嫌いの子どもに無理強いするのはおすすめできません。興味を持って自分から本を読みたいと思わせることが大切なため、まずは好きな本から読ませてみてください。
また読書のハマり過ぎにも要注意です。読書の時間が長くなり勉強の時間が削られてしまっては本末転倒となります。決められた時間帯や隙間時間に読書をさせることが大切です。
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著者 | マシュー・サイド |
発売日 | 2020/06/26 |
出版社 | 飛鳥新社 |
・心の持ち方
・自信を持つ方法
・潜在能力をフルに発揮するために
など、この一冊は強い味方になってくれると思います。
〈CHAPTER7〉は、「大事な本番で役立つ!プレッシャーを消す技術」です。
受験本番に向けて、是非読んでみてください。