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お知らせ

2024/02/26

タイ国際共同研究報告No.2 訪問プログラムを実施しました

 慶祥・重点枠SSHの1年目より連携し、ともに国際共同課題研究プログラムを作り上げてきたタイのプリンセス・チュラポーン・サイエンス・ハイスクール・パトゥムターニー校(PCSHSP)との交流を実施しました。 今年度の参加は、慶祥3名、札幌南1名、PCSHSP9名という少人数でしたが、参加生徒達は昨年末からLINEで連絡を取り合い、それぞれが興味を持つ研究テーマを提案し合いながら、3つの研究グループを決め、中身のディスカッションを進めてきました。

 

訪問プログラム報告 1日目~3日目

文:北海道札幌南高校 小野柚香

2月4日

 受入プログラムから数えて7日目。ついに、タイでの訪問プログラムが始まります。6時間の空の旅を経て、スワンナプーム国際空港へ到着しました。この日はもう夕方だったので、商店街で買い物と夕食を取り、学校へ向かいました。お店には、日本の商品が想像よりも多く並んでいたことにおどろかされました。寮ではタイの生徒に案内してもらい、ルームメイトや施設を紹介してもらいました。北海道とは全く異なるタイの空気を感じ、これからの1週間への期待が更に高まる日となりました。

 

2月5日

 この日から、タイでの活動が活発になっていきます。8日目は学校での体験活動とアユタヤ観光を行いました。朝礼では日本人メンバーが各々自己紹介を行い、PCSHSPの皆さんに温かい歓迎を受けました。その後は、学校内でタイの染め物体験です。カラフルな染料から自分の好きな色を選んで染めていくので、それぞれの個性があふれる帽子を作ることができました。受入の時からの継続で、共同研究も発表に向けて進めました。 午後はアユタヤ遺跡を観光し、象に乗りました。アユタヤ遺跡は、600年以上前に成立した寺院だそうです。大きな木の根本に取り込まれた仏像の迫力には、とても驚かされました。象の上から遺跡を眺め、とても刺激的な体験ができました。

 

2月6日

 9日目はフィールドトリップです。原子力研究所やカセサート大学の見学をさせていただき、大学のお祭りを満喫しました。研究所と大学では職員の方から英語の解説を受け、原子力発電のコアや様々な研究設備を見学しました。どのメンバーも熱心に話を聞き、実りの多い体験となりました。お祭りでは、お店の方の話をタイの生徒に翻訳してもらいながら観光しました。露店の方々もタイメンバーも、皆さんとても素敵な笑顔をしていて、私達も思いっきり楽しむことができました。様々な種類のローカルフードを楽しみ、現地の雰囲気を味わう事ができてとても充実した時間を過ごしました。 夜はディナークルーズに乗せていただき、タイの王宮や寺院を川から眺めました。美しくライトアップされた絶景には目を奪われてしまいました。船上では、先生方との交流もたくさんでき、より親睦を深めることができました。

  

訪問プログラム報告4日目~6日目

文:立命館慶祥高校1年 岡田結衣

2月7日

 この日はタイの文化体験をした日でした。それぞれのグループでの実験や実験結果の分析を進めたあと、タイ式のボクシングであるムエタイを教えていただく時間がありました。戦う際に手を保護するための包帯の巻き方から基本的な動作まで習ったのですが、部員の方の技は格が違ってとても迫力がありました。昼にはタイの伝統衣装を着て、お茶やお菓子、竹細工などを体験しました。初めて触れることばかりで新鮮でありながら、どこかアジアの馴染みのある感じがしました。先生方や生徒の皆さんのホスピタリティ溢れる紹介のおかげで、タイに伝わる文化をより深く知ることができました。夜は学校の校庭でバーベキューやレクリエーション、天体観測をして、プロジェクトのメンバーと交流しました。この時間がずっと続いてほしいと願うくらい、楽しくて貴重な時間でした。

 

2月8日

 午前中に、バンコク周辺で起きた事件の鑑定を担っている科捜研に行きました。実際に二ヶ月前に起きた殺人事件について、事件の手がかりをつかむ証拠となる現場検証の写真とともに、科学的な観点から事件を分析する過程について見せていただきました。場所に合わせて違う方法で指紋を取ったり、銃の種類や銃弾の軌道を考慮したりと、捜査のための装置や手順を間近で教えてくださり、生徒一同が釘付けになりました。午後には、タイの観光名所であるお寺「ワット・アルン」に行きました。エメラルドブッタの像をはじめ、きらびやかな像や建物の数々とその歴史的背景に圧倒されました。夜は学校祭があり、食べ物や射的などの屋台を楽しみました。プロジェクトのメンバーや寮のルームメイトだけでなく、沢山の先生方や生徒と交流ができました。最後のステージでは大勢の人が一体となって盛り上がっていて、感動しました。

 

2月9日

 最終日の朝は、数学の授業を受けた後、チームごとに共同研究の最終プレゼンをして、校長先生から修了証書を受け取りました。それぞれのグループでコミュニケーションの難しさの壁にぶつかりながらも、互いに出来ることで補い合って続けてきた研究が少しでも形になったような気がして、嬉しかったです。昼に行ったムアンボーラーン(古代都市屋外博物館)には、タイにある古代都市や歴史的な建造物が小さくなって1つの大きな公園におさめられていました。タイに古くから伝わる説話が詰まっていて面白かったです。夜に空港に着いてから飛行機へ搭乗の手続きをする直前まで、タイのメンバーや先生方と沢山話しました。一緒に過ごした時間が二週間だけだとは信じられないほど、沢山の苦楽を共にしたことを思い出しました。特別な仲間に出会えたことへの感謝の気持ちを改めて感じた瞬間でした。

 

<担当教員より>

 言葉の壁を越えて、学び合う、作り上げるという営みを繰り広げる中で、生徒達は毎回目覚ましい成長を見せてくれます。その姿から、「好奇心」「課題発見」「世の中への貢献」が研究の第一歩であることを再確認するのです。そして、異なる背景を持った仲間と協働することで、ゴールの目指し方や、そのスタイルは国や文化によって少しずつ違うのかもしれないと気づきます。この二週間それを全身全霊で学んだ皆さんが、これから国境を越えるサイエンティストたることを願って、また次年度のプログラム計画を始めます。